日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

広告とイメージ 〜物はあふれてイメージと化した

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物があふれると生産しても売れるわけにはいかず、なんとかして買ってもらわなければなりません。そのため宣伝が必要となってくるのですが、それを大勢の人に見せようとしますと広告が生まれます。そしてこの広告というものによって、消費社会における1つの転換点が現れているようでもあるのでした。

 

広告というものの機能としてなによりも大事なのは購買意欲を掻き立てることです。欲しいと思ってもらわなければ広告を打つ必要がありませんものね。しかも広告によって見た人が自ら欲しいと思ってもらわなければならないのであって、強制的に買わせるわけにはいかないのでした。それでは押し売りになってしまいます。

 

ではどうやって購買意欲を掻き立てるか、ということなのですが、それは商品にイメージを結びつけることだといいます。ただそのイメージというものは多岐に渡るようです。

 

たとえば化粧品に綺麗な女優さんを使うことは、その化粧品を使えばこのように美しくなれるよ、というイメージが込められています。また最近プロテインバーのCMにバズーカ岡田が自分で監修して出演しているものがありますが、これもマッチョになるためのイメージと結びついています。

しかしこうした商品(化粧品やプロテインバー)が他の同じような商品と比べて優れているのかは広告を見た限りではわかりません。もしかしたら無名の化粧品の方が有効な成分が多いかもしれませんし、小さなメーカーのものの方が安いことだって考えられないわけではありません。ですが広告を見て商品を買う私たちはそんな品質の差など普通比較して買うことは稀です。今でこそネットで調べやすくなりましたから行う人もいるでしょうが、それでもネット情報で調べるのが一般的で化学や栄養学まで遡って調べる人はより少ないでしょう。つまり広告を見て買う人は、広告のイメージによって購入するのであって品質によって購入しているわけではないのです。

 

これは別に悪く言っているわけではなく、必然的にそうならざるを得ないのでした。というのも化粧品1つにしても、最早商品は溢れかえっているからです。たとえ専門知識があったとしても、1つ1つの商品を確かめることは困難です。それが身の回りすべての商品において起こるのですから、ますます難しくなっていきます。

 

かつて物のない時代であれば選択の基準は手に入るかどうかが重要だったと思います。そのため商品の乱立が起こった場合はより安く品質の良い物が選ばれたといえるかもしれません。しかし現在は大半のものがそれなりに品質良く、価格も手頃になってきました。大量生産の極みとしてそこまで行き着いたわけです。しかし代わりに有り余る商品の中でどれを選べばいいのかは不透明になってしまいました。A社とB社の商品は、いったいどこが違うのでしょうか。素人目には区別がつかなくなってしまいました。

 

そして企業が相手をするのはこうした素人、前知識を持ち得ぬ大勢の人々なのです。それは当たり前で、たとえ化粧品のプロであってもプロテインについて詳しいというわけではありませんし、じゃあ不動産は、金融は、と数珠つなぎに専門分野をあげていけば知らないことの方が大半だからです。これはすべての現代人に当てはまってしまいますので、商品の購入者としてこの最も広大な人の類型、すなわち大衆を相手にするのは避けることが出来ません。専門家用の商売は可能ですが、超大企業にはなれないかと思います(もしかしてあるかな)。

 

こうなってくると商品は物なのかイメージなのか、わからなくなってきます。品質を確実に判断して買っているのではないとすれば、私たちは商品のイメージを買っているのではないでしょうか。化粧品も化粧品としての働きではなく、新垣結衣や石原さとみによって体現される美のイメージとして購入しているのかもしれません。こうなってくると物として行われていた経済活動が、イメージ=精神によって行われるものへと変化していっているようにも思えてきます。生産中心から消費中心の経済へと変わることは、物質から精神という変化でもあるのかもしれませんね。

 

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気になったら読んで欲しい本
記号の経済学批判 (叢書・ウニベルシタス)

記号の経済学批判 (叢書・ウニベルシタス)

  • 作者: ジャン・ボードリヤール,今村仁司,宇波彰,桜井哲夫
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 1982/12/05
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 1回
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こうした消費社会論はボードリヤールという人がよく書いていたのですが、困ったことにフランス現代思想特有のなに言ってんだかわからない書き方をされていて、普通に読んでもよくわかりません。意味を追わずになんとなく感覚でわかった気になって読んでもらえればいいかと思います。そうでないと嫌いになっちゃうかも。

本もたくさんあるのですが、とりあえず最初の頃の本を載せておくことにしておきます。またこれからも載せるかもしれませんから、その時々に変えていきたいと思います。

幻影(イメジ)の時代―マスコミが製造する事実 (現代社会科学叢書)

幻影(イメジ)の時代―マスコミが製造する事実 (現代社会科学叢書)

 

世の中がそもそもイメージ中心の時代に変わっていってしまったのではないか、ということを書いた本。確か著者はアメリカの政治学者だったかな。

この本は広告ではなくむしろTVについて書いている本だったと思います。かつてなら英雄となる人物は人並みはずれた仕事を成した人を指したのに、今や周知の人、つまりTVに出てるような有名人を指すようになった、というようなことを社会学的に書いています。有名人、いわばタレントを個人という規模での商品だと考えるならば、TVに出して活躍させることはまたとない広告の作用を果たすことになります。その点で今回のお話と関係するかもしれませんね。

注意して欲しいのは翻訳が出たのでも60年代で、TVが今のネット以上に真新しい存在だった頃に書かれていることです。そして今でもその内容は色褪せません。ここ10年ほどでネットが完全に定着しTVへの批判が当たり前のように書かれるようになりましたが、その登場時点で既に批判は完成されていました。古いからといって価値がないわけではないのです。

それは裏を返せばもう十分に分析され理解されているにも関わらず、なにも変えることが出来なかったと言えないこともないのかもしれません。となると現在のネットの問題も既に分析と理解はすまされていて、しかしなにも変えられていない可能性だってあります。そうやって読んだ方が生産的かもしれませんね。

 

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