日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

民族宗教的認識の問題点 〜自分たちだけで、余所者は人間じゃないんです

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ユダヤ教とそこから生まれたキリスト教やイスラームがどう違うか、なんて大問題は当然私には荷が重いのでいつものようにここで考えるのに使えそうなところだけ考えてみますね。

 

とりあえずユダヤ教は民族宗教です。前回書いたようなユダヤ人のかわいそうな歴史から生まれた、ある種自己弁護の塊のような宗教観だ、と意地悪に受け取れないこともありません。それは言い換えると自分たちのことだけを考える宗教です。ユダヤ教の神は圧倒的な神様として存在していますが、その神様が救ってくれるのはユダヤ人だけです。だからユダヤの聖典でモーセは神様と契約を結ぶのですが、それはあなたを信仰する代わりに自分たちの民族(ユダヤ人)を守ってね、という約束なのです。他の民族のことは考えていません。なんなら敵なので滅ぼして欲しいくらいなのかもしれません。

 

ちなみに一神教ではこうして人間(モーセ)が神様と約束=契約を交わします。佐藤優によると、これこそが欧米の契約社会の基礎なのだそうです。つまり神とすら契約をして自分たちの行動や利益を守る、それを人間相手にしているのが契約社会であり、神相手にすら交渉しお互いに条件を決め約束するというのに人間同士の交渉で決めたことなど神と比しても軽々に破るわけにはいかない、という考え方になるのだそうです。ですから一神教(ユダヤ・キリスト教とイスラーム)以外の仏教・儒教世界に住んでいる東洋人には究極のところで契約社会の意味が理解できていない、と指摘されていました。ただ、私はどこかの雑誌で読んだのでどの本に載っているのかは残念ながらわかりません。ただ一応これかな、と思う本は下に載せておきます。

 

ともかく、ユダヤ教はユダヤ人のための宗教です。神もまたユダヤ人を守ってもらうためにモーセは約束してもらいました。守ってもらうためにどうしたのかというと、様々な儀礼をすることにを誓い、いくつもの規則を守るようにしました。それがユダヤ教の律法となるらしいのですが、代わりに最強の神様に守ってもらえるようになったわけです。

この自民族を守ってもらえる、という態度は他の民族宗教でも同じようです。大体どの神話でも戦神がいますが、それは自分たちが戦争で勝つためです。戦をやめろ、という神様は多分いないんじゃないでしょうか(いるのかな?)。いたとしてもそれは身内の争いをやめろというだけで、敵との争いをやめろとは言わないかもしれません。それは自分たちだけがよければいいのであって、他の民族など考えの範疇に入ってないからです。

 

たとえば山川偉也はアリストテレスの政治哲学ですらそうだった、と言います。アリストテレスはポリス的と言える認識を持っていたそうですが、私はアリストテレスを数冊読んだだけで大半は読んでいません(当たり前だーっ)ので正確にはわかっていません。それでも一応説明してみますと、ポリスというのはギリシアの都市国家のことを指すのですが、そうしたポリスだけを考えたポリス中心主義なのだそうです。そこから人間観も現れていて、ポリス的人間のみを人間と規定し、それ以外の人間、つまりアリストテレス的ポリス人間からすれば蛮族とみなされる者は完全な人間とみなされません。ではなんとみなされるかというと、まず人間の対局にあるものとして動物を規定し、蛮族を人間と動物の間の存在、として規定するそうです。つまり

人間・・・蛮族・・・動物

という関係になるわけです。

これが当然差別の構造を持つことは疑えません。そのためアリストテレスは奴隷必要論だったそうです。アリストテレスほどの頭脳の持ち主でも奴隷を容認した、と知性と人類の進歩についてよく例に出される気もしますが、これがまさに民族的な態度なわけです。余所者は人間じゃないんですね。

山川偉也はそのため、アリストテレスの政治哲学が黒人や未開部族に対する差別や奴隷化に思想的根拠を与えた震源であると大変批判的でした。そしてアリストテレス的人間観に対峙するものとして樽の中のソクラテスと呼ばれたディオゲネスを置くのでした。この場合、アリストテレスが民族宗教的でディオゲネスが世界宗教的に扱われているわけですね。

 

とりあえず民族宗教的な捉え方は少し説明できたでしょうか。長くなりましたから、また次回。

 

次の日の内容

世界宗教の思想的大転換 〜身内からすべての人へ - 日々是〆〆吟味

前の日の内容

普遍性の前の民族宗教:ユダヤ教の場合 〜いじめられっこのユダヤ人 - 日々是〆〆吟味

気になったら読んで欲しい本
交渉術 (文春文庫)

交渉術 (文春文庫)

 

う〜ん、多分この本じゃないかなぁ、と思うのですが、おそらくこの本の元となった連載で神との契約が人間同士の契約という考え方の基礎で、ユダヤ・キリスト教的な考え方である、と書いていたはずです。

佐藤優は元々マルクス主義者だったのですが、大学に入るときバリバリのアカ(もう死語かな)になっては困ると両親から無理やり同志社に入れられたそうです。しかしマルクスは基本的に宗教批判の人で、宗教は民衆の阿片である、と述べていました。そのため佐藤優自身はマルクスのやったように徹底して宗教批判をするつもりで神学部に入ったのですが、その時の神学部の教授が、そういう倒してやろうと思っている人ほど転ぶと信心深くなる、と言って本当にそうなったそうです。ですから佐藤優はキリスト教、もしくは神学が土台にあるそうです。

哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- (講談社学術文庫)

哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- (講談社学術文庫)

 

で、こちらがアリストテレスの政治哲学を批判的に説明してくれている本。どうもディオゲネスのみを取り扱った本というのはこれだけのような気がします。しかしかなり細かいことも書かれていますので、関心のない人は面白くないかもしれません。

ディオゲネスっていう人はとても面白い哲学史上屈指の変人ですので、その風聞でも知っていれば面白いかと思います。でもその話だけでも面白くなってしまうのでここではやめておきましょう。いつかネタにして書ければいいですね。

 

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