日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

ローマ帝国の歴史に学ぶ盛者必衰/栄枯盛衰の興隆と崩壊の原因となった優れた文化文明から学ぶ勤勉さ ~偉大な国が滅ばないための優れた他者の受容と勤勉【モンテスキュー『ローマ盛衰原因論』】

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ローマと勤勉さ 〜偉い国が滅ばないためには...?

学ばなくなったことにより崩壊したかつての超大国 〜モンテスキュー『ローマ盛衰原因論』

他国から学ばなくなったことによって大国が滅んだ、という認識は昔の著述家の中にもありました。これは日本ではありません。多分誰でも三権分立の名前とともに覚えさせられたモンテスキューという人がいますが、この人は三権分立を確立したと言われる『法の精神』の前にも2冊本を書いています。それが『ペルシア人の手紙』と『ローマ盛衰原因論』です。合わせてモンテスキューの3部作と呼ばれているようなことを解説に書いてあったかと思います(多分。随分前に読んだので忘れました)。

 

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『ローマ盛衰原因論』はヨーロッパの土台となった大帝国であるローマがどのようにして栄え、衰退していったかを述べたものです。300年も前の歴史書ですから、その中身の正否は今から見て正しいのかはわかりません。歴史叙述の正しさはとりあえず置いておくこととして、モンテスキューがその原因と考えているところを見てみましょうね。ローマという過去の時代を見たある著述家が、その理由をどこにあると見たか、ということに焦点をあててみたいと思います。

 

ローマが栄えたのは異民族の優れた点から学んだこと

モンテスキューによれば、ローマが栄えたのは異民族の優れた点から学んだことだ、というのでした。ローマ人というのは当初さほど版図の大きい民族ではなかったそうです。思想的には圧倒的にギリシャ人でしたし、政治的にはまずペルシアがあり、アリストテレスが教えていたアレキサンダー大王がいたマケドニアが後に覇権を握ります。王の死後帝国は分裂し、その後にローマが現れるのですが、それまでは辺境の一民族だったそうです(あまり詳しくないので、そんなに信用しないでください。下に信用できそうな本載せておきます)。

 

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そんなローマ人がなぜヨーロッパの起源となるくらいの大帝国となったかといえば、自分たちよりも優れていると思われた民族から徹底的に学んだからだ、とモンテスキューはいいます。たとえばローマはキリスト教が国教となるまではローマ神話が国教でしたが、中身はほとんどギリシア神話です。それを自分たちローマの神さまたちに当てはめて自らの神話にしてしまいました。神話だけではありません。もちろんギリシア哲学も取り入れました。ギリシア哲学は当時最高の思想的到達です。基本的にヨーロッパ思想というのはプラトンとアリストテレスによって貫かれています(キリスト教の神ですら新プラトン主義を経由していますし、トマス・アクィナスの『神学大全』はアリストテレス的といわれます)。また戦の方法もどこか優れた民族から学んだといいます(スパルタって書いてあったかな。忘れました)。戦をして敗れても、敗れた相手から学んで次は勝ったそうです。

 

ローマが衰退したのはローマ人が学ばなくなったから

では逆にどうしてローマは衰退していったのでしょうか。モンテスキューは、これもまた、ローマ人たちが学ばなくなったからだ、といいます。自分たちが大帝国を築き、最も優れた民族であることを自負し、他の民族から学ばなくなってしまったからである、というのです。そのため他民族が優れた成果を生み出していても、自分たちより劣っている民族に覆されるなど考えもせず一顧だにしなかったのかもしれません。そして自らの栄華に酔い痴れ、周囲を正確に見れなくなっていたのかもしれません。つまり偉くなってしまって驕ってしまったから、他の優れた民族に敗れてしまったというわけですね。そしてローマ人が蛮族と呼んだ民族が後のヨーロッパ諸民族の始祖となっていくのでした。

 

偉くなり誇りすぎる危険性

この話を読むにつれて、なんだかあまり偉くなってしまったことを誇りすぎるのは危険ではないか、と思わないでもありません。それにローマは事実偉大な大国でした。現在のヨーロッパはこの頃のローマに戻りたく一所懸命EUの結束を固めようとしています。上手くいってはいませんが、そうしたくなるくらいにヨーロッパにとってローマは模範なのだと思います。そのローマが栄え、衰退した原因としてモンテスキューは学ぶことをあげたのでした。

 

 

 

前回までに中国が近代化で敗れてしまったのは自らが偉大であったためだ、と述べましたが、中国も偉大な国です。多分ローマより偉いんじゃないかと思わないでもありません。ローマはギリシア哲学を取り入れましたが、自分たちの手で哲学を発展させることは出来ませんでした。ギリシア哲学は人類史に屹立した思想的到達ですが、ローマ哲学は比較出来るほどのものは、おそらくありません(ただ懐疑主義が近世に翻訳されて認識論が盛んになり、とうとうカントを生んだという側面もある)。代わりに法律は非常に発展したそうです。なんだか偉大なものはないけどうまく扱うのは上手、というのは日本と似ていないでもありません。それに比べると、中国は自らで儒教も持ち、仏教も発展させましたから思想的土台ではローマより自主的であったかもしれませんね。ですからヨーロッパを必要としなかったのかもしれませんが、そのために中国は近代化で敗れてしまいました。

 

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モンテスキューの考えが正しいとは限らないのですが、ひとつの間違いなく偉大であった国、いや文明圏自体が栄え、衰退した原因の分析として耳を貸してみてもいいのではないでしょうか。日本は確かに近代化においては中々に立派な国だったかもしれません。しかしその近代という時代が終わりつつあるのかもしれない現在、その偉さが自覚となり足を引っ張りかねないといけませんので、せっかく昔の偉い人が似たようなものを分析していますし、歴史から学ばせてもらってもいいのではないでしょうか。特に日本の場合、憲法9条の問題から、ローマは軍事を他民族に任せたから滅んだ、という意見もあります。それはそれで1つの意見ですが、同じようにローマが滅んだ原因として驕り高ぶって学ぶことを忘れた、という指摘があることも共に頭の中に入れておいてもいいのではないかな、と思わないでもないのでした。

 

気になったら読んでほしい本

【モンテスキュー『ローマ盛衰原因論』】 

モンテスキューの本。『法の精神』に比べてあまり名が知られていないと思います。私は上に書いたようなことを思い浮かべながら面白く読んだ覚えがあります。もちろん他のことも書いてあるでしょうし、私が忘れたり理解していないところも多々あるでしょうから、出来れば元となる本を読んで判断してくださればいいな、と思っています。私の書くものはあてになりません。

 

【塩野七生『ローマ人の物語』】 

ローマについて手に取りやすい本はこちらかなぁ、と思い載せておきます。ただ私は読んでいませんのでお話できることもありません。しかし世評はとても高いので、多分読んで損はない本ではないでしょうか。

【ギボン『ローマ帝国衰亡史』】 

で、こちらは古典的なローマ史の本になるかと思います。やっぱり私は読んでいません。これ読んでいればローマについてかなり詳しくなれるんじゃないでしょうか。しかしどれも長い本ですねぇ。

【マキャヴェリ『君主論』】 

ちなみにローマが軍事を傭兵に頼ったから滅んだのだ、とはこの本に書いてあったかと思います。おそらく日本の右派知識人は左派の思想を理想主義とし、自らを現実主義の立場として批判するためにマキャヴェリズムで有名なこの本から批判の矢を持ち出したのかもしれませんね。

 

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 お話その74(No.0074)