日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

共存共栄の雑種文化としての日本 〜加藤周一の日本文化の理解

スポンサーリンク

スポンサーリンク

日本に西洋哲学的な思想体系が存在しないということは、昔の知識人の間では当たり前の認識だったようです。保守思想の代表格である三島由紀夫でもそれを認めていたのですから、なにも今風に反日というわけにはいきません。と同時に左派でも同じ認識を有していました。

 

加藤周一は以前もあげた本『日本文学史序説』の著者で三島由紀夫に劣らぬ左派の代表格です。『日本文学史序説』は18ヶ国語に翻訳されたそうですから、世界的知識人であることも間違いないでしょう。元々医学生でフランスにも留学し帰国してから評論活動をはじめてその後評論家になりました。後々国外の様々な大学にも呼ばれ教えていたくらいですから、三島由紀夫が批判したコスモポリタンの完成形みたいな人ですね。ここまでいくと前回述べたような三島由紀夫の批判は当たらなくなってしまう気もしますが、多分批判したかったのは加藤周一のような本物ではなくその真似をするような浅い人たちだったのだろう、とは想像できますね(なんかこんな書き方してると偉そうですが、当然私はそんな方々の足元にも及ばないただの読者です)。

 

ともかく加藤周一も日本にはしっかりした土台となる思想が存在しないことは認めていたと思います。そして三島由紀夫とは少し違い、その空っぽさこそが日本の強みではないか、と考えたようです。日本は強い土台は存在しておらず空っぽだ、しかしそれゆえに西洋文化が入ってきても東洋文化が残ったまま存在している、これは見方を変えれば異質な文化が共存していることになる、西洋や中国が純粋な文化だとすれば日本は雑種文化であり、雑多なものが共存共栄していることになる、この雑種性こそ日本の利点であり活かせる点である、と、大体こんな風に言ったかと思います。

 

こうした点から純粋な〇〇文化に対し、その〇〇文化と他の✖️✖️文化を内包したままの日本文化が構想されたのでした(と、思う)。それは〇〇文化と✖️✖️文化が混ざり合って△△文化となってしまうというよりも、日本文化(〇〇文化、✖️✖️文化)という風に合わさって混ざり合うのではなく両方がそのままに内包してしまっているようなものだ、ということでしょうか。そしてその姿が西洋や中国と比べて異質で、日本の特徴と見られたのだと思います。

 

ただ、仕方のないことかもしれませんが、比較するのがヨーロッパとか中国とか一大文明圏の中心であって、その他の日本と同じような小さな周辺国と比べたらどうなのか、ということはよくわからないようです。しかし、そもそもなぜ大国との比較論が必要だったかというと、近代化において日本は後進国であって、どのようにして追いつけばいいかが最大の問題だったからです。戦後も真の近代化未だ成らず、という認識で出発したので、目標としての文化と前提としての自分たちの文化があり、自分たちの文化を見直し再度位置づけようとしたものなのかもしれませんね。

 

気になったら読んで欲しい本
文化防衛論 (ちくま文庫)

文化防衛論 (ちくま文庫)

 

前回もあげた三島由紀夫による日本文化の理解の仕方が書いてある本。私には難しいです。

雑種文化 日本の小さな希望 (講談社文庫 か 16-1)

雑種文化 日本の小さな希望 (講談社文庫 か 16-1)

 

加藤周一による日本文化の理解の仕方の本。雑種文化と名づけられたものがそれです。いくつかのエッセイがおさめられていて、比較的読みやすいかもしれません。どういうわけか講談社から出ているのに学術文庫や文芸文庫から出ていません。なんででしょう。普通の、しかも昔の講談社文庫からだけ文庫版が出ています。多分古本でしか手に入らないのではないでしょうか。

日本文学史序説〈上〉 (ちくま学芸文庫)

日本文学史序説〈上〉 (ちくま学芸文庫)

 
日本文学史序説〈下〉 (ちくま学芸文庫)

日本文学史序説〈下〉 (ちくま学芸文庫)

 

で、加藤周一の日本文化総覧の書。何回もあげていますが、代表作なので加藤周一の話をすれば載せるしかないのでした。

日本文化論のインチキ (幻冬舎新書)

日本文化論のインチキ (幻冬舎新書)

 

で、多分日本文化について説明されたものを批判しているものとしてこの本をあげておきます。私は読んでいないのですが、他の場所で著者が日本文化論は欧米との比較しかしていない、と書いていた覚えがありますので、題名にもなっているこちらを載せておきます。

ちなみに日本文化論は戦後だけでなくバブルの時も盛んだったようです。どちらも日本が世界と比べて特殊だ、という説明なのですが、戦後間もない頃のものは、だから欧米に追いつかなくてはいけない、というものだったのが、バブルの頃は、だから日本は優れている、というものに化けてしまったそうです。さしずめ今の日本文化論はバブル期の論調を引きずりながら、斜陽の中目を背けるものになってしまっているのかもしれません。今日の日本を見て三島由紀夫や加藤周一はどんな評価をされたでしょうね。

 

次の日の内容

日本の偉さと原理原則 〜自己把握と基準による次の一手へ - 日々是〆〆吟味

前の日の内容

偉大な文明国と空っぽの日本 〜三島由紀夫の逆説的日本評価 - 日々是〆〆吟味

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村