日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

アシスタントと週刊連載 〜手塚治虫が残したもの

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このまま日本の文化についてもう少しお話しようかと思ったのですが、ちょっと手塚治虫が残した様々な影響について、いくつかお話してみようかと思います。思い出したうちに書いておかないと、また違うこと書いて忘れてしまいますからね。

 

日本のアニメ体制が手塚治虫の無茶な料金設定によって成立してしまったように、漫画におけるアシスタント制度も手塚治虫によって作られたそうです。手塚治虫が売れっ子だったのは最初からです。落ち込んだらしいのは晩年のちょっと前くらいらしく、しかし『ブラックジャック』で返り咲きました。当時『ブラックジャック』の連載を決めた秋田書店の編集者は、手塚治虫の死に水をとるつもりで連載を引き受けたといいます。そこで見事に復活し、それどころかそこから代表作を1つ描き続けてしまうのですから創作者としても流行作家としても化け物です。

そんな手塚治虫ですから、ずっといそがしいのでした。連載はいくつも待ちますし、依頼もばんばんあります。まだ大阪時代の頃、あまりに作品を量産するものですから手塚治虫は2人いるとか、手塚治虫は共同のペンネームで描いてる人間は複数いるとか業界で噂になったそうです。しかし手塚治虫は一人で描いていました。それだけでも化け物じみたエピソードですが、やはり締め切りには追われます。原稿を待つ編集者は、ただじっと待つだけでは時間が間に合わないので、手塚治虫の途中の原稿を見ながら、手塚先生、この場所黒く塗ればいいんですか、と尋ねて編集者自らがベタ塗りをしたといいます。これが日本の漫画におけるアシスタント制のはじまりなのですね。

つまり、あまりに手塚治虫の仕事量が多かったために編集者が手を出したわけですね。それを今度はちゃんとしたスタッフを雇ってやるようになったわけです。

 

こうして漫画家がアシスタントを持つことは当たり前になりました。そのおかげで作業スピードは上がりました。そのおかげで雑誌は間隔を短く発行することが出来るようにもなりました。こうして漫画の週刊連載なんていう真似も可能になり、週刊漫画雑誌が生まれることも出来たわけです。

そして週刊連載は過酷です。漫画家が逃げるほどに過酷です。少年ジャンプの名物編集者だったDr.マシリト…じゃなかった、鳥嶋和彦はTVのインタビューで、漫画家に一番必要なものは、と聞かれ、3つあって1つは体力、と述べていました。なにせ週刊連載は過酷だから、とも言っていました。あとは本をよく読むことと、もう一つなにか言っていましたが忘れました。絵は、と聞かれて、絵は描いてれば上手くなる。しかしストーリーは色んな本を読んでいないと書けない、とのことです。

まぁ、ジャンプは特別過酷な気もしますが、しかしなぜこんな過酷な労働環境になっているのかといえば、アニメ共々手塚治虫という不世出の天才を基準にして作られた制度だからですね。手塚治虫なら耐えられる制度でも、そら普通の作家なら潰れてまうやろ、とツッコミたくもなります。似た話で、明石家さんまは寝ないと聞いたラサール石井が真似をして寝なかったら、一週間で入院が必要になるくらい肝臓の数値が悪くなった(ひょうきん族時代の話だそうです)とか、博多華丸大吉が若手の頃、福岡吉本のトップがさんまの元マネージャーだったので夜になると、起きてるか、さんまさんは寝てなかったで、と電話がかかってくるとかいう話があります。そりゃさんまはそれで平気かもしれませんが、他の人がやるとこうなるわけですね。夜起きてるか電話してくるなんて、どこかそんなこと言って会社をブラック企業として訴えた話も数年前ありましたね。

ともかく天才は天才でいいのですが、天才基準で制度まで作られると大変だ、というお話ですね。

 

なんだか長くなってしまいました。今回だけで終わるつもりだったのですが、一回で終わらないのが手塚治虫の大きさです。というわけで、また次回。

 

参考となる本
手塚治虫―時代と切り結ぶ表現者 (講談社現代新書)

手塚治虫―時代と切り結ぶ表現者 (講談社現代新書)

 

手塚治虫について定評があるらしい一冊。私は随分昔に読んだので記憶もおぼろげですが、面白かった覚えがあります。手塚治虫の数々の逸話はこの本や自伝、または色々な方の発言に散らばっています。私自身もどこで読んだのかはっきりしませんので、一応これをあげておきます。

この本をあげる理由として、他の本でこの本のことを取り上げていた時、漫画評論でも有名な呉智英が評価していて、以降はこの本に書かれていることを踏まえて書かれるべきであろう、と述べていたという記述を読んだ覚えがあるからです。ちなみにこの記述があった本は忘れました。昔図書館で立ち読みした中にあった一冊ですが、古い本だったという以外に覚えていません。

ぼくはマンガ家 (立東舎文庫)

ぼくはマンガ家 (立東舎文庫)

 

で、手塚治虫の自伝。以前もあげましたね。当然手塚治虫のエピソードの宝庫です。

 

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