日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

ディズニーと手塚治虫と日本のアニメ 〜ひとつのアメリカ文化に憧れた日本人

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今や日本の文化と喧伝されるアニメや漫画も、いわば戦後のアメリカ文化の受容から生まれてきました。

 

アニメも漫画も日本では誰が開祖かは、多分みな知っているのではないでしょうか。そう、手塚治虫です。手塚治虫は正真正銘の天才で、歴史的な水準の表現者だったと思います。そうした天才、偉人が最初にいたからこそ、同時代で体感した下の世代の人たちがこぞって同じ道に入り、ひとつの分野を育てたのかもしれません。アニメならさしずめ宮崎駿と富野由悠季をあげれそうですし、お笑いなら明石家さんまやビートたけし、野球なら長嶋茂雄に王貞治、イチローといった人たちでしょうか。

 

しかし、その手塚治虫にも憧れた人がいました。ウォルト・ディズニーです。手塚治虫はディズニーの影響下から出発しました。本人もそう述べていますから間違いありません。

ディズニーは言うまでもなくアメリカ人です。アニメーションという分野を生み出したといっても過言ではないほどの偉人です。しかし、今でもそうですが、アニメーションは大規模な芸術分野です。なにせ2時間なら2時間の映像をすべて絵で描かなくてはいけません。映画ならロケハンしてカメラ回して演技するところを、全部机に向かって絵に描いてもらわなければいけないのです。映画とは異質の人件費と機材が必要になります(今はデジタル技術が進歩して、むしろ垣根がなくなってきているのかもしれませんけれどね)。

ディズニーはこうした莫大な費用と手間のかかるアニメーションを、卓抜なアイデアとプロデュース能力によって革新していきました。それはひとつの作品を作るために機材から作ったという逸話にも表れています(どの作品だったか忘れてしまいました)。こんな真似が出来るのはアメリカが豊かな国で、映画産業にもとても熱心だからです。

 

そんなディズニーのアニメに憧れた手塚治虫は、なんとかして自分でも同じような作品を作ってみようと志ました。そして映画的な手法を取り入れた、当時斬新だった漫画を書き出すことになります。それは画期的なものでした。だからこそトキワ荘に集まった漫画家たちは、10代で手塚治虫の『宝島』を読んで感銘を受けたのです。すなわち、漫画なのに絵が動いているように見えたのでした。

売れっ子漫画家となった手塚治虫はアニメーションにも手を出します。そして日本で初めてのアニメスタジオを作り、『鉄腕アトム』をアニメにしていきます。しかし、アニメーションというものは、ディズニーがしたように莫大な費用がかかりますし、機材も人材も必要です。アメリカだからこそ出来たものが敗戦後の日本に出来るわけありません。そのため手塚自身忸怩たる思いを抱きながら、粗製乱造と自らも認めるような作り方をしていくのでした。

しかも手塚治虫はアニメを独占したかったのです。アニメーションに対する愛情が深すぎて、他の誰にもさせたくなかったと言います。そのため、よそでは絶対引き受けられないだろう、というような安値で仕事を引き受けました。そして漫画で稼いだ分で補填しようとしたのです。しかし、なんと、すぐに追随されて『鉄人28号』が作られてしまいます。そして本来ありえないほどの低価格で日本のアニメ産業はスタートしてしまいました。これがきっかけで、今日までアニメ業界は労働環境が過酷なままと言います。

そういえば宮崎駿がプロデューサーの鈴木敏文に語ったところでは、なんとかしてアニメーターの給料を月20万にしてやりたい、そうすればなんとかやっていける、と述べたそうです。それもたしか『風の谷のナウシカ』を作っている最中の話で、宮崎駿の代表作というだけでなく、日本のアニメの代表作のひとつといっていいくらいの作品を当時のアニメーターは月10万程度の給料でやっていたわけです。それも80年代初頭、バブル間近の時期ででもです。手塚治虫に罪があるとするならば、天才基準で整えられてしまったアニメ産業の制度がそのままに残ってしまったことでしょう。

 

しかし手塚治虫だけで日本のアニメは終わるわけではありません。そこから独自に発展していったそうです。ですがその前にどうやって手塚治虫がこの苦境を乗り越えようとしたのか、それをお話してみたいと思います。しかし長くなったのでまた次回。って、アニメっぽい終わり方ですね。

 

参考となる本
ぼくはマンガ家 (立東舎文庫)

ぼくはマンガ家 (立東舎文庫)

 

手塚治虫の自伝。今回書いたことはほとんどここにのってるんじゃないかな。私は角川文庫で読んだ覚えがあるのですが、どうやら復刊されて出版社も変わったようです。手塚治虫は作品が面白いのは言うまでもありませんが、人生自体も面白いのです。特に戦争体験と敗戦の体験は自身の原点と述べていますし、作品に底流する強烈なペシミズムの理由が紐解かれるような気がします。

 

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