日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

読み方の対立と統一的見解 〜文学を科学に、ですかね?

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プロップからバルト、ジュネットへと至る小説(プロップは昔話ですが)の構造分析は、それまでにも前史がありました。ちょっとおまけでそのお話もしておきましょうね。

 

プロップはロシア人です。ロシア人ですから、当然ロシア人同士の間で学会が存在します。そして当時のロシアでは1つの文学運動がありました。それが形式主義とでもいうもので、ロシアで行われたのでロシア•フォルマリズムと呼ばれます。

 

このロシア•フォルマリズム。文字通り小説を形式的に読んでいくことを目標としました。つまり読み手の感情に左右されずに読めるようになることを目標としたのです。

何故そのようなことを目標としなければならないのでしょうか。ちょっと参考になるブログをはてなブログの中で書いてらっしゃった方がいましたので、参考にさせてもらいましょう。もし失礼な引用になっていたら申し訳ありません。ここでの説明に引き寄せた形でしかご紹介出来ないことを先にお詫びさせてください。

 

「この作品には中身がない」という批評の「中身」って何? - 天国的底辺

 

こちらで書いていらっしゃることの1つに、作品を見ているつもりで自分が作品だと思っている部分だけを見ているのだ、という指摘がありますね。これは批評の難しいところであり原点でもあります。

批評は確かに自分の思ったことを書いても構わないのですが、代わりに説得力のある批評を行わなければなりません。そのためには作品の徹底的な読み込みだけでなく、膨大な教養による作品の比較や理論的分析などを必要とし、それ抜きに行えばただの感想を一般化し押しつけるだけになります。それは感情論になってしまい水掛け論に終わってしまう危険性があります。

しかし、これが立派な批評であっても起こったりします。たとえばエドガー•アラン•ポーはアメリカの詩人で、推理小説を生み出した文学史的作家でもあります。しかし当時のアメリカでは評価が低かったようです。20世紀最大級の批評家兼詩人のT•S•エリオットでも少し馬鹿にしたような書き方です。しかしフランスでは象徴詩人と呼ばれる人たちがポーを崇拝しました。それはボードレールからマラルメ、ヴァレリーにまで至り、エリオットと比べてもどっちが偉いなんていえないくらいです。少なくともこれら3人はエリオットと同じく20世紀最大級の詩人、批評家です。

 

参考になるブログを見つけましたので貼っておきますね。

エドガー・アラン・ポー(3)「破壊と創造」 : マイケルと読書と、、

 

こうなってくると一人の作家、作品を評価するのに対立が生じてくるのは避けがたいことになってしまいます。ただの感情論だけでなく、当代きっての批評家、同業者でも意見が分かれるのです。どこに統一的な見解があるのでしょうか。

 

こうした見解の相違に決着をつけようとすれば、批評を科学に、つまり誰が読んでも同じ見解になるような基準を設けようとしたくなります。そのために統計的手法を用いたり、読み手自体を排除したような読み方を出来るようにアメリカの批評家は行ったようです。ヨーロッパの持つ学問の数学化が文学でも起こってきたわけですね(バルトやジュネットはその後の世代です)。しかしそうすると逆に統一的見解を許さないことになってしまいます。同じ作品でも違うように読めるからフィクションは豊かなのではないでしょうか。それがみな一緒になるのでは学校の授業みたいです。1+1=2は必ずそうなりますが、同じように作品を読んで2みたいな答えはだせないはずです。というわけで文学の数学化は矛盾があるようで、バルトは儚い夢だった、と語ったそうです。

 

しかし、実は作品に対して統一的な見解を持たせることは可能なのでした。それが実はロシア•フォルマリズムが生まれた理由でもありました。けれどもそれは文学の数学化ではなく、まったく別の動機からだったと言います。

 

参考となる本
ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

 

ポーの本。なんと創元推理文庫は詩と評論が一冊にまとまっています。とっても便利。しかも評論は詩論で、応用して推理小説を生むことになった創作論も入っています。お得な一冊です。

文芸批評論 (岩波文庫)

文芸批評論 (岩波文庫)

 

エリオットの評論。でもポーについては入っていないようです。エリオットで簡単に手に入るのはこれくらいかと思いますので、1つだけでも載せておきます。

キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法 (ちくま文庫)

キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法 (ちくま文庫)

  • 作者: T.S.エリオット,ニコラスベントリー,Thomas Stearns Eliot,池田雅之
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/12/01
  • メディア: 文庫
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ちなみに劇団四季の『キャッツ』はエリオットの詩が原作です。興味があればどうぞ。結構楽しい愉快な詩ですよ。

ボードレール全詩集〈1〉悪の華、漂着物、新・悪の華 (ちくま文庫)

ボードレール全詩集〈1〉悪の華、漂着物、新・悪の華 (ちくま文庫)

 
ボードレール批評〈1〉美術批評(1) (ちくま学芸文庫)

ボードレール批評〈1〉美術批評(1) (ちくま学芸文庫)

 

ボードレールの本。ボードレールはちくま文庫に詩、ちくま学芸文庫に評論がまとまって入っています。昔ボードレール全集が筑摩書房から出たおかげで文庫化されているのです。ありがたい話ですね。

評論は他では手に入りにくいですが、詩はあちこちで文庫から出ています。好きなの選べばいいでしょうね。

ヴァレリー・セレクション 上 (平凡社ライブラリー)

ヴァレリー・セレクション 上 (平凡社ライブラリー)

 

ヴァレリーの本。ヴァレリーは平凡社ライブラリーで詩と評論がまとまって出ています。私は読んでいません。個々の詩や評論は岩波文庫や世界の名著にもあります。こちらは少し読みました。

 

こうしてあげていくと詩人もたくさんいますね。でも詩は読んでも私にはよくわかりません。評論の方がよくわかる気がします。

 

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