日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

エッセイと小説・論述 〜エッセイは私が主人公の小説だ(ちょっとちゃうやろ…) (付:モンテーニュ『エセー』/パスカル『パンセ』)

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ついでに小説とエッセイの違いについても少し考えてみましょうか。

 

小説と論述の違いは、世界に対する理解の仕方の違いだ、ととりあえず考えてみました。草原を前にしてその光景を描写するのが小説ならば、その植物相や風土を記述・分析するのが論述だ、ということになるでしょうか。世界を普通に見えるままに捉えるか、本質的に捉えようとするかの違いと考えたわけですね。

 

ではエッセイではどうでしょうか。

 

エッセイでは周りの世界に対しては小説とあまり変わらない気がしますね。書き手に受け取れる形で捉えていくことになりそうです。しかし論述のように本質的に捉えていくばかりとも言えない気もします。美しい自然について書かれたエッセイというものもありますし、思案して分析していくものもあるでしょう。つまり小説に書かれているものも論述に書かれているものも書くことができるわけです。

となると、エッセイが他の文芸ジャンルと違うのは世界に対する捉え方というわけではなさそうです。少なくともそれだけでエッセイの立場が確立されそうに思えませんし、小説と論述ほど分け切れる気もしません。

 

となるとエッセイは別の基準によって分けられるはずですね。それはどこでしょう。

 

周りの世界に対する捉え方ではなくて、視点の位置と考えてみましょうか。

論述であれば書かれるものの視点は書き手本人のものです。まさか他の誰かの観点によって書くなんて真似、出来っこありません。他の人に書いてもらえば代作ですし、無断で使用しては盗作です。必ず書き手と論述の間には一致した関係が結ばれるはずです。

一方小説はそんなことありません。普通、作家と作品の中の視点人物は別の人物です。これが一致することの方が珍しく、私小説くらいしかないのではないでしょうか。しかも「私小説」なんて名前があるくらいですから一般的な小説の在り方とは異なるであろうことが予想されます。小説は一般的に作者と異なる視点人物が、作中世界の中で、私たちが触れるのと同じようにして世界に触れています。ただその世界が作品世界であり、創られた虚構なだけです。だから小説は創作なのですね。

 

ここから考えていきますと、エッセイは論述のように書き手と書かれたものの間には一致した関係が成り立っているはずです。その上で小説のように周りの世界を書き手自身が捉えていることになります。書き手自身が捉えているので、小説のように虚構の世界を捉えているわけでもなく、虚構の人物を通して捉えられているわけでもありません。書き手自身の責任と立場によって捉えられたものを書いているわけです。

 

そうしますと、エッセイとは書き手が身の回りの世界に対して、自らの捉えようによって書いていく文芸ジャンル、ということになるでしょうか。論述と違い本質的に捉えようとする必要はない、小説のように虚構を通して捉える必要もない、しかし小説のように自らが中心(視点人物)となって周りの世界に対して書いていく。こういうことにしておきましょうか。

 

参考となる本
エセー 1 (岩波文庫 赤 509-1)

エセー 1 (岩波文庫 赤 509-1)

 

エッセイというジャンルを確立した本です。エッセイというジャンルはこの本のタイトルから生まれたわけですね。ジャンルを生んだ作品を読んでおくと、そのジャンルの特性が理解されやすくなるかもしれません。読むと結構面白いんです。

『エセー』はむしろ哲学の古典として位置付けられていますが、タイトル通りエッセイなので難解な理論というわけではありません。むしろ読みやすく楽しい本です。古いので時代が違いすぎて背景がわからず難しく感じますが、読むだけならそんなに嫌にならないかもしれません。ただ巻数が長いです。

また

パンセ (中公文庫)

パンセ (中公文庫)

 

パスカルの有名なこの本はモンテーニュ『エセー』から影響を受けて書かれていますので、エッセイとして読んでもいいのではないでしょうか。かの有名な格言『人間は考える葦である』もありますよ。

また『パンセ』は今で言う理系と文系の考え方みたいなことも書いていて、勉強法などを知りたい方にはおすすめかと思います。パスカルは哲学者として高名ですが数学者としても優れていたといいます。文理横断の歴史的知識人から直接学べる本です。現代の有名人から学ぶのもいいですが、たまにはこんな人から学んでみるのもいいんじゃないでしょうか。面白いですよ。

それに中公文庫版は、なんと、一冊にまとまっています。持ち運びにも便利ですし、移動中にでも読まれたらいいかもしれませんね。一つ一つは短いですから、疲れたらどこでも中断できます。パスカルは早く亡くなってしまいましたので編纂がなされていないと言いますが、どうせ短くちまちま読むのであれば関係ありません。

ちなみに

エセー 6冊セット (岩波文庫)

エセー 6冊セット (岩波文庫)

 

こちらが『エセー』の文庫版セット。

モンテーニュ随想録

モンテーニュ随想録

 

こちらが今新本で手に入る一巻本『エセー』のようです。でも高いですからね。

世界の名著〈第19〉モンテーニュ (1967年)

世界の名著〈第19〉モンテーニュ (1967年)

 

おとなしく世界の名著版を古本で見つける方がいいかもしれません。世界の名著は昔たくさん出たらしいので、安く古本屋においてあることが多いです。まぁ、パスカルと違ってモンテーニュは持ち歩きできそうにありませんから、一冊にまとまっている必要もないかもしれませんけどね。分冊なら色んな訳者から出ていますので、いくらでも選べそうですよ。

 

次の日の内容

世界と本質的表現 〜世界って、どうやって本質的に捉えればいいんでしょうか(付:ソシュール『一般言語学講義』/レヴィ=ストロース『野生の思考』/山口昌男『二十世紀の知的冒険』) - 日々是〆〆吟味

前の日の内容

創作と論述 〜周りの世界に対する表現の仕方が違うのだ。これでいいのだ。 - 日々是〆〆吟味

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